病名がつくほどではないけれど、いつも疲れていてやる気が出ない。
たとえ病院に行ったとしても「異常なし」「気のせいでは」と言われてしまう……。
そんな原因不明な不調を抱えている人が増えています。
ストレスの多い現代社会、不調にはさまざまな要因があると言われてますが、
もしかしたらその疲れ、「副腎疲労」が関係しているかもしれません。
ご自身も「副腎疲労」による体調不良を経験した「東京原宿クリニック」の篠原岳先生に、
大切な臓器「副腎」にまつわる話を伺いました。
「アクセル踏みっぱなしの生活」が
副腎をクタクタにさせています
突然ですが、テストです。 以下の項目で現在の自分の状態に当てはまるものをチェックしてみてください。
3つ以上当てはまる場合は、「副腎疲労」を起こしている可能性が。
これらは一見、「意志力の問題でしょ」「ナマケ者だから」と「心の問題」として語られがちなものですが、実は「副腎疲労」の典型的な症状と言われています。読んでいて「まさに私の症状」とドキッとする方も多いのではないのでしょうか。
そんな「副腎疲労」、あまり聞き慣れない単語かもしれませんが、そもそも「副腎」とは一体どんな臓器なのでしょうか?
「腎臓の上にあるほんの3㎝ほどの小さな臓器で、ひと言で言うと『体の元気を司る臓器』。さまざまなストレスに対処し、体を元気にしてくれるホルモン『コルチゾール』を分泌します。普通は朝に多く分泌されるため、朝にぱっちりと目覚められるのは、コルチゾールのおかげなんですよ」と篠原先生。
つまりコルチゾールがうまく分泌されていないと、朝起きるのが辛い、午前中だるいという症状が起きてしまうのです。さらに副腎は「血糖値の調整」という大切な役割も果たしているので、副腎が疲労すると低血糖状態になりやすくなります。低血糖は人体にとって危険な、アラーム状態。何とかそれを自覚させようと、空腹、冷や汗、心拍数の上昇、イライラといった症状が出てきます。
「低血糖が進んでいくと、体はアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンを分泌させ、何とか血糖値を上げようと踏ん張ります。これらのホルモンは、交感神経を活発化させてしまう。つまり副腎疲労によって血糖調節機能が崩れると、言わば“一日中アクセルを踏みっぱなし”みたいな状態になってしまうんです」
副腎をヘトヘトにさせているのは
ストレスや偏った生活習慣
例えば夜中に何度も目が覚めてしまうのも、副腎疲労の症状のひとつ。睡眠中に低血糖になっているからアドレナリンが出て、交感神経が活発になってしまうから目覚めてしまうのだとか。
「また『元気が出ないから』と、コーヒーなどカフェインで上げさせるのはとても危険です。カフェインはアドレナリンやノルアドレナリンを分泌させ、ただでさえヘトヘトの副腎にさらにムチを打つようなもの。そのうち通常のカフェイン量じゃ効かなくなり、さらにコーヒーを飲む回数を増やして……という悪循環になると、副腎疲労がどんどん重症になり、立ち直るのにものすごく時間がかかるようになってしまうのです」
そんな大切な役割を果たしている副腎をクタクタにさせないためには、まずは「副腎疲労を引き起こす原因を、きちんと意識しておくことが大切」と篠原先生。「副腎にやさしい生活」を意識して心掛けることが、慢性的な疲労感から抜け出すヒントになるかもしれないのです。
「副腎を疲れさせる原因は主に①ストレス②血糖調節③炎症④不規則な生活の4つです。まずはストレス。『ストレスを取り除くなんて無理!』『ストレスがない生活なんて実現不可能!』という声が聞こえてきそうですが(苦笑)、患者さんたちの声を聞いていますと、やはり家庭内や職場などの人間関係のストレスが圧倒的ですね」
これらのストレスは取り除くことは本当に難しいですが、篠原先生が医者という立場から強調されたのは「人への心配をする前に、まずはご自分の体のケアを」ということ。家族や仕事相手、同僚のことを気にかけるあまり、自身の健康がないがしろになっている方が非常に多く、結果的に必要以上にストレスを溜め、副腎を疲れさせている方が多いというのです。
心配や怖れ、イライラなどがクセになっているようなら、「またクセになっているな」と意識して心理的距離を置き、アロマなどを用いて、気分転換を心掛けるるのもおすすめだとか。
2回目(3月1日配信)は、副腎を疲れさせる原因②「血糖調節」③「炎症」について解説していただきます。
Have a try !
そして、どれだけ副腎にやさしい生活をするかが、元気を取り戻すポイントです。