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井澤由美子の「心に効く薬膳レシピ」①

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不安をやわらげる「春にんじんの参鶏湯」


「心に通ずるものは胃を通る」をモットーに、
毎日の食事で心身の健やかさを保つレシピを提案している井澤さん。
中国の伝統医療・中医学をベースに、日本人にも身近な食材を使った薬膳は、
体のみならず心の健康にも役立ちます。

何となく心に不調を感じるとき、
それは季節ならではの体調変化が関係しているかもしれません。
ご紹介する食材とレシピを意識的に取り入れて、
季節の変わり目を軽やかに進んでいきましょう。

Photo: Kohei Yamamoto
Text : Noriko Tanaka
Edit : Ayumi Sakai

薬膳の考え方では季節を5つに分け、それぞれに対応する臓器があると考えますが、春は「肝(かん)」の季節(下の「五行相関図」参照)。「血」を貯蔵するとともに、全身に「血」と「気」を巡らせ、老廃物や毒素を解毒する役割を持ちます。

< 五行相関図 >
五行相関図

「春はデトックスの季節」という言葉を聞いたことがある人も多いかもしれませんが、この季節に「肝」はフル稼働。また「肝」はストレスを受け止める役割もあるため、弱ってくると不安や緊張、イライラなどがたまりやすくなってきます。ただでさえ春は、年度末の忙しさや新しい環境に慣れるために不安がたまりやすい時季。「肝」を労わりつつ、「気」を補う食材をしっかり食べて、不安になりがちな心をケアしましょう。

Key 食材 春にんじん

Key 食材 春にんじん

薬膳の考えでは、血を作る作用があり、目を労わる働きがあるとされるにんじん。特に春先のにんじんは甘くてやわらかく、瑞々しい食感が特徴です。栄養学的にはカロテンをたっぷり含んでおり、体内ではビタミンAに変換されて皮膚や粘膜、髪や爪を健やかに保ち、抗酸化作用があるとされています。


調理をする井澤さん

RECIPE

不安な気持ちをやわらげる
「春にんじんの参鶏湯」

春が近づいているとはいえ、まだまだ肌寒い季節。韓国を代表する養生食・参鶏湯(さむげたん)に、「肝」をいたわるにんじんをたっぷりと加え、体も心も温めましょう。
鶏肉やもち米は、どちらも気力を養い、体を元気にしてくれる食材。もち米が手元になければ、お正月に余ったお餅を使ってもOKです。にんじんとなつめは目にいい食材でもあるので、パソコン仕事で目疲れしがちな人にもおすすめのレシピです。

材料(2人分)
春にんじん(小)… 2本
骨つき鶏もも肉 … 1本
※手羽元や手羽先でもOK
しょうが(皮ごと薄切り) … 5枚
もち米 … ひとつかみ(50g)
粗塩 … 小さじ1/2強
なつめ … 2 個
にんじんの葉(あれば) … 少々

しょうがごま油
しょうが(すりおろし) … 大さじ1
ごま油 … 大さじ1
塩 … 小さじ1/5~1/4

春にんじん(小)… 2本 骨つき鶏もも肉 … 1本 ※手羽元や手羽先でもOK しょうが(皮ごと薄切り) … 5枚 もち米 … ひとつかみ(50g) 粗塩 … 小さじ1/2強 なつめ … 2 個 にんじんの葉(あれば) … 少々
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作り方
  1. 鶏肉は関節部分に包丁を入れ、半分に切り、さらに食べやすい大きさに切る。
    ポリ袋に入れて塩をふり、よくもみ込む。
  2. にんじんは皮をむいて(好みで)、斜め半分に切る。もち米はさっと洗う。
  3. 鍋にすべての材料を入れ、水4カップを注ぎ、強火にかける。沸騰したら弱火にして、40分ほど煮る。
  4. 器に盛り、にんじんの葉を散らす。しょうがごま油(材料すべてを混ぜる)を好みでかけていただく。
くさみ取りと下味をつけるため。袋に入れてもみ込むと、 塩は少量でもまんべんなく行き渡ります。

POINT

鶏肉は骨ごと入れることで、うま味がしっかり出ます。
食べやすく切ったあと、塩をふるのは、
くさみ取りと下味をつけるため。袋に入れてもみ込むと、
塩は少量でもまんべんなく行き渡ります。

Have a try !
「肝」を酷使する春は、不安や緊張などで気持ちが揺らぐのは当たり前。
体が温まってホッとする一品で、心も一緒にケアしましょう。
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