ミニマリストが選んだ「物」とストーリー

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広瀬裕子の「わたしが整う日用品」 file.13
「老舗旅館の白いシーツ」


ミニマルで上質な暮らしが人気を集めるエッセイストの広瀬裕子さん。
驚くほど物を持たない広瀬さんが、手放さずに使い続けている物、新たに手に入れた物とは?
「本当に好きなものを少しだけ、大切に使う」という広瀬さんの審美眼に叶った
日用品の物語を綴ってもらいます。

Text&photo : Yuko Hirose
Edit : Ayumi Sakai

1日のはじまりと終わりに「切り替え」を教えてくれる

ふとん生活になり2年がすぎました。

ふとん生活のメリットは、部屋の自由度が広がることが一番ですが、その他には、毎日のふとんの上げ下ろしで「切り替え」ができる点もそう感じています。ひとつが、空気が切り替わること。もうひとつは、気持ちが切り替わること。そのふたつです。

ふとん生活をスタートしてから、シーツをあたらしいものに変えました。白いシンプルなコットンのシーツです。

選んだのは、京都にあるギャラリー。旅館・俵屋さんで使用しているものを取りあつかっているお店です。

俵屋さんといえば「寝心地のよい寝具」で知られた旅館です。ずいぶん前になりますが、宿泊した際、評判通りの寝心地のよさと寝具類の清らかさに感動したことがあります。

ギャラリーのサイトを覗いたところ、シーツ、ピローケース、その他の寝具類が紹介されていました。

寝具類は、どちらかと言うと「必要だから」で、揃えることが多いものではないでしょうか。わたしのようにねこと暮らしていると、汚れる場合も多々あり、買い替えを前提に選ぶこともあります。すきなものを使いたいけれど──躊躇してしまうのです。

それでも。毎日使うものです。日々、肌にふれるものです。できるだけ気に入ったもののほうががいいのは確かです。こと寝具に関しては、睡眠の質にも関わってきます。

そう考えると、このシーツは、理想的です。俵屋さんで使っているという信頼感。肌にふれた時の気持ちよさ。使うよろこび。いままでは、定番のシーツを決められずにいましたが、これからは、このシーツを定番にしようと思います。

実際に使いはじめてみると「さすが」と思います。きっと、長い時間のなかで「何がいいか」を旅館の方たちが精査してきたのでしょう。目の詰まったコットンは、ぱりっとしたなかに、やわらかさを内包しています。その感触は、体を横たえた瞬間や眠る時間だけでなく、ふとんの上げ下ろしの際にも伝わってきます。

シーツに手にふれると、その日のはじまりと終わりを意識します。朝の「さあ。今日も」と、夜の「今日も1日」と。

シーツが、それぞれの時間と気持ちの「切り替え」を教えてくれます。


< 今日の「ご褒美」 >
お茶のお稽古を再開して1年が過ぎました。
毎日、可能な限り「一日一服」をこころがけています。
慌ただしいときも、気持ちが落ち着いているときも、
その時間を取ることがご褒美だと思います。

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