揺らいだ日も、頑張った日も。
MIND
揺らぐ心をフラットに「お悩み相談室」 #21
2026.07.15
theme :

「外食で緊張すると体に震えが。会食にプレッシャーを感じます」答える人:精神科医・星野概念さん

「外食で緊張すると体に震えが。会食にプレッシャーを感じます」答える人:精神科医・星野概念さん

現代人が抱える悩みや日々わいてくる心のもやもやに、
多くの人とその人生に向き合い、心を癒してきたあの人がアドバイス。
今回の回答者は、病院に勤務するかたわら
執筆や音楽活動も行う精神科医・星野概念さんです。

Text : Yoko Jinza
Edit : Ayumi Sakai

今回の悩み
外食をするときに、緊張すると体が震えることがあって困っています。先日は尊敬する先輩と二人でお茶をしていて、コーヒーを飲もうとしたら首に震えがきました。ごまかそうとして瞬きをたくさんしたり、「味がイマイチ」と嘘をついてひと口で飲むのをやめてしまいました。職場の人たちとの外食や、初めての喫茶店に一人で入るときなどにも同じようになりました。これって何かの病気でしょうか? 緊張しやすい性格も関係している気がします。人に会う時は飲食がセットになることが多く、会食を避けたいと思う自分がいます。だけどそれは悲しくて……悩んでいます。

体に症状が出たら
まずは内科に相談する

普段はない症状が体に現れるときは、体が何かをお知らせしているということ。それは「体の病気にかかっているよ」かもしれないし、「ストレスがあり過ぎて心と体が限界に近いよ」というメッセージかもしれません。いずれにしても心配な症状がある場合は、一度病院に相談してみることをおすすめします。

受診先としては、まず内科がいいと思います。体に震えが出る疾患はさまざまあり、実際に診察や検査をしないと原因はわかりません。神経の病気や、甲状腺などホルモンの不調が背景にある場合も考えられます。

内科を受診して体の疾患ではないとわかれば、一つの安心材料になります。そうなれば「ストレスや緊張をどう緩めていくか」に、腰を据えて取り組むことができますね。

もし会食に対する恐怖症(人前で食事をする際に強い不安や緊張を感じ、手の震えや動悸などの症状が出て食事が困難になる、不安障害の一種)だとしたら、治療には長い時間がかかります。でも体の病気が原因だった場合、先に恐怖症の治療だけを続けると「あの時間は何だったのだろう」と後悔することになりますから。

イライラに悩まされているときなども、「これは心の問題だ」から入ると、「怒りっぽい性格のせいだ」とか自己否定のループにはまります。でも実際は、甲状腺などホルモンの疾患でイライラが抑えられない人はたくさんいます。

現代はインターネット上に心や体の病気に関する情報があふれています。そうした情報に触れる中で「自分はこの病気かもしれない」と思い込み、適切な対応が遅れることがあるかもしれません。「体に症状が出たときはまずは内科に相談する」ということを心に留めておいてください。

人は余裕がなくなると
弱い部分が現れやすくなる

心身の余裕がなくなるほど、その人の「癖」が出やすくなり、「苦手なパターン」に対処するのが難しくなります。もしかしたらあなたも、ストレスで心身が常に緊張状態にあって、そこにプレッシャーのかかる場面が重なることで体が震え、そうしたことが何度も起こると「また震えるかもしれない」と不安が強まり、さらに緊張して震えてしまう――そんな悪循環に陥っているかもしれません。

「どうにもならないときもある」
と知っていることも大事

心身の余裕を保つためには、自分に厳しくしすぎないことが大切です。たとえば、予定を入れすぎない、人に対して愛想よく振る舞い過ぎない、頼まれごとに応え過ぎないなど、自分に負荷がかかることを減らしてみてください。

そうは言っても、自分に優しくすることは「言うは易し 行うは難し」でなかなかできないもの。だからこそ〝練習″が必要です。その一方で「なかなかできない」とわかっていることも、とても大事です。自分に負荷をかけない努力は続けつつ、「頑張ってもどうにもならないときもあるよね」と力を抜いて自分に優しくする。そんなふうにバランスを取りながら少しずつ整えていきましょう。

profile:

星野概念

精神科医など。1978年生まれ。
医師として臨床に携わる一方、ミュージシャンや執筆など多方面で表現活動を行う。
対話を大事にし、「無理をしない」「自分を追い込みすぎない」
視点から現代人の生きづらさに寄り添う姿勢が支持されている。
著書に『こころをそのまま感じられたら』(講談社)、
『ないようである、かもしれない~発酵ラブな精神科医の妄言』(ミシマ社)など。

share:

RECOMMENDED