現代人が抱える悩みや日々わいてくる心のもやもやに、
多くの人とその人生に向き合い、心を癒してきたあの人がアドバイス。
今回の回答者は、コミュニケーションの専門家・大野萌子さんです。
悪気はまったくないけれど、ついストレートな物言いをしてしまいます。最近は同僚に「言い方がきつくない?」と冗談まじりに言われました。後輩には、こわい先輩と思われているよう。ときには誤解を招いたり、人を傷つけてしまったりすることもあります。話し方を変えたほうがいいのでしょうか。
NGワードを
ソフトな言葉に言い換える
自分は何げなく言ったつもりが、相手にはきつく聞こえたりプレッシャーを与えたりしがちなワードをいくつか挙げてみましょう。普段の会話で、心あたりはありますか?
●「まだ?」
上司や同僚に「〇〇は、まだ?」とストレートに聞かれるのが苦手という声をよく聞きます。「まだ終わらないの?」とプレッシャーをかけられていると感じる人も。状況確認をしたいときは、「進捗はどうですか?」「どこまで進んでる?」と聞くとソフトな印象になります。
●「聞いてないけど」
同僚や部下に「〇〇はどうなりましたか?」と尋ねられたときなどに、無意識に言っていませんか? このひと言は、「私には伝わっていないから、私に責任はない」と責任転嫁しているようにも聞こえます。「認識していなかったから、教えてくれる?」「もう一度、内容を確認してくれますか」とフラットに返すといいでしょう。
●「普通こうだよね」「一般的には」
仕事の進め方や意見を伝えるときにこう前置きをすると、不特定多数の人を味方につけるような印象になり、「みんなそう思っているから、そう思わないあなたは間違っている」といったニュアンスが含まれてしまいます。自分の考えや意見を伝えるときは、「私」を主語にする「Iメッセージ」で話すのがコツ。「私はこう思う」と、自分の意見として伝えましょう。
否定形を肯定形に
変換する
ほかにも、きつい話し方を変えるシンプルな方法があります。それは、否定形を肯定形に言い換えること。
「この書類はこう書かないで」 → 「こう書いてください」
「会議室の予約を忘れないで」 → 「会議室の予約、お願いね」
このように、「〇〇しないで」ではなく「〇〇してください」と言うだけで、印象がガラリと変わります。もし、否定形で話すクセがあるなら試してみてください。
表情や声のトーンが変わると
話し方の印象も変わる
話し方を柔らかくするためには、言葉選びも大事ですが、実は表情や声のトーンも同じくらい重要です。無表情でぶっきらぼうに話すのか、柔らかい表情でやさしく話すのかによって、相手の受け取り方が変わりますね。
話し方がきついと思われがちな人は、語気が強かったり、はきはきし過ぎていたりする傾向があります。会社の上司評価制度で、「声が大きいからこわいと部下に評価された」という管理職の方も少なくないので、意識するといいかもしれません。
もし「失言したな」と気づいたら、素直に謝れば大丈夫。声の大きさやトーンはその人の個性でもあり、必要以上に気を使うと疲れてしまいます。気負わず、少しずつ改善していきましょう。