「ペンギン ブックストア」選・今月の一冊 #07

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『怠けてるのではなく、充電中です。』
ダンシング・スネイル・著、生田美保・訳/CCCメディアハウス


書店に来られるお客さまから、
「元気がないときに、おすすめの本はないですか?」と訊かれることが、
よくあります。そんな方には、「元気が出る本」ではなく、
「元気がなくても楽しめる本」をご紹介しています。
自分の気持ちに寄り添ってくれて、硬くなった心をほぐしてくれる文章が、
見つかるかもしれません。

Text : Minobu Tateishi(Penguin Bookstore)
Edit : Ayumi Sakai

前向き過ぎないメッセージと
脱力イラストで心を充電

本が大好きな私の知人は、交通事故がきっかけで無気力になり、全く本が読めなくなってしまいました。引きこもりがちだった時期に出会ったのが、この本。最初は文章の部分は飛ばし、イラストのページだけを眺めているうちに、心が癒されたと話してくれました。
韓国のイラストレーター、ダンシング・スネイルさん(おもしろい名前!)が書いたイラスト・エッセイです。たしかに、脱力系のイラストに癒されます。そして見出しやイラストに添えてあるひとことが、いちいち心に刺さるのです。
「今日もただ存在できますように」
「人間関係にも賞味期限ってありますか」
「今日も人の目ばかり気にしていました」
「忙しいのが終わるといつも空虚」……など、など。
いいこと教わった!と思ったのは、「おうちゲージ」という考え方。家でくつろいでいるとエネルギーが充電される「ウチ族」は、外での活動が続くと、スマホの充電が少なくなるように、「おうちゲージ」の数値が下がってしまいます。そんなときは、家でダラダラして充電することが必要、という考え方です(いっぽう、外で活動することでエネルギーを得るのが「ソト族」)。
私は明らかに「ウチ族」なので、ダラダラも必要なんだ!と思うことで、怠けるときの罪悪感が少し軽くなりました。長い期間、無気力症やうつ、不安症を患った著者がたどりついた考え方には説得力があり、前向き過ぎないメッセージは、受け入れやすいものばかり。職場や友達関係での〝モヤモヤ“や〝イラっと”するエピソードに共感したり、かわいく毒を吐くイラストに、クスっと笑えたり。ダンシングさんならではのゆる~い世界を漂っているうちに、心の充電が少し増えていることに気づけるかもしれません。

『怠けてるのではなく、充電中です。』
ダンシング・スネイル・著、生田美保・訳/CCCメディアハウス

韓国で人気のエッセイスト兼イラストレーターである著者が、
世の中のすべての「コドモオトナ」たちに向けて、「あなただけじゃないから大丈夫」という
励ましのメッセージとして書いたエッセイ。脱力系の大人かわいいイラストと、
落ち込んだ気分に寄り添ってくれるような文章が交互に現れて、楽しく読み進められる。
ストレスが多い社会といわれる韓国や日本で、若者を中心に反響を呼んだ。
ペンネームには、「おっとりしているけれど、踊るような余裕と楽しさがあるカタツムリ」
という意味が込められている。

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ストレスを抱えるあなたに寄り添う、
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