「ペンギン ブックストア」選・今月の一冊 #09

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『こきゅうの本』
クリストファー・ウィラード+オリビア・ワイザー・作(茂木健一郎訳)、
アリソン・オリバー・絵/大泉書店


書店に来られるお客さまから、
「元気がないときに、おすすめの本はないですか?」と訊かれることが、
よくあります。そんな方には、「元気が出る本」ではなく、
「元気がなくても楽しめる本」をご紹介しています。
自分の気持ちに寄り添ってくれて、硬くなった心をほぐしてくれる文章が、
見つかるかもしれません。

Text : Minobu Tateishi(Penguin Bookstore)
Edit : Ayumi Sakai

不安や怒りをコントロールするために
「体験型」絵本で深い呼吸のエクササイズを

最近、「マインドフルネス」という言葉をときどき耳にしますね。「今この瞬間に意識を向けて、ありのままに受け入れる」こと。心理療法にも活用されていて、日本でも研究が進んでいます。マインドフルネスを生活に取り入れてみたいと思ったときの、最初の一歩に役立ちそうな絵本を見つけました。表紙をめくったとき、「この本は、〝こきゅう″の練習をお手つだいしてくれます」という言葉に目が留まりました。呼吸って、練習するものなんだ。練習すれば上手になれるんだ……。深い呼吸をすると気持ちが落ち着いて、不安や怒りなどのネガティブな感情を抑えることができる。それはわかっているのですが、つい忘れてしまいます。

私の場合、「間に合わない、どうしよう!」と焦っているときは呼吸を忘れがち。落ち着いてやればなんでもないような簡単なことを、失敗することもあります。
また、訳もなくとげとげした気持ちになって家族に当たったり、誰かにされたささいなことに腹が立ってなかなか収まらなかったり。そんなときは、必ず呼吸が浅くなっています。

この本では、簡単にできるさまざまな呼吸のエクササイズが紹介されています。描いてある線を指でなぞりながら、吸ったり、吐いたり。本をおなかにのせて呼吸してみたり。ページを立てて息を吹きかけてみたり。何度も出てくるのが、「どんな感じ?」「どんな気持ち?」という質問です。自分の気持ちに耳を傾けてみる余裕をなくしていたかもしれない、と気づかされました。忙しい一日の終わりにほんのひととき、スマホを閉じてこの本を開く。自分とゆっくり向き合う時間をつくるという習慣が、人生に何かの変化をもたらしてくれるかもしれません。

『こきゅうの本』
クリストファー・ウィラード+オリビア・ワイザー・作(茂木健一郎訳)
アリソン・オリバー・絵/大泉書店

簡単な15のエクササイズを実践することで、呼吸に意識を向けることができ、
不安や怒りなどのネガティブな感情を落ち着かせることにつながる「体験型」絵本。
ボストンを拠点に、マインドフルネスを専門に研究を続ける心理学者で
教育コンサルタントのクリストファー・ウィラードらが考えたメソッドを、
ニューヨークのイラストレーター、アリソン・オリバーが、魅力的な絵で表現している。
翻訳は、脳科学者の茂木健一郎。子どもはもちろん、
大人も楽しみながら読み進められ、深い呼吸法を身につけられる一冊。

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