揺らぐ心をフラットに
「お悩み相談室」 #03

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「向上心を持って頑張っている人を見ると、劣等感がわいてきます」
答える人:コラムニスト・漫画家 辛酸なめ子さん


現代人が抱える悩みや日々わいてくる心のもやもやに、
多くの人とその人生に向き合い、心を癒してきたあの人がアドバイス。
今回の回答者は、独自の観察眼と軽妙さで現代を描くコラムニスト・辛酸なめ子さんです。

Text : Yoko Jinza
Edit : Ayumi Sakai
今回の悩み

周りの人たちは、キャリアアップややりがいを求めてリスキリングや転職活動、副業などに余念がありません。一方、私は今の仕事をつつがなく続けられたら満足。だけど、向上心をもって頑張っている人を見ると、引け目を感じることも。現状に満足していてはダメでしょうか。

現状維持を望むのは
心が満たされているから

人生には、目標に向かって突き進む「向上心モード」と、歩みを緩めて自分をいたわる「休息モード」があるように感じます。相談者さまも、過去には受験や就職活動など目標に向かって情熱を注いだ時期があったのではないでしょうか。だからこそ今、「仕事をつつがなく続けられたら満足」という境地に達しているのかもしれません。

先日バラエティ番組を見ていたら、大御所の芸人の女性が「夢や抱負を聞かれても何もない」と言っていました。現状で満たされていれば、無理に夢や理想を追い続けなくても良いと思います。現状維持に心が向くのは、好きなお仕事をして満足感を得ていることの裏返し、とも見受けられます。

社会には忙しく活動する人も多いですが、その原動力は「もっと満たされたい」という焦燥感だったりすることも。また、コロナ禍では社会全体が「強制休養」のような時期を経験しました。向上心モードの人たちの中には、コロナ禍の反動で活発に動いている方もいらっしゃる気がします。

「生きているだけで十分」
というポジティブマインドを育む

頑張っている人を見ると引け目を感じる……というお気持ち、よくわかります。それはきっと、日本人特有の謙遜や「自分なんて」という思い癖が影響しているのかもしれません。「生きているだけで十分」と、ありのままの自分を肯定できる心を育てていきたいものです。

プチ善行で
自己肯定感を高める

もし「使命感を感じたい」と思うなら、ボランティア活動にトライしてはいかがでしょう。誰かに感謝されると、自分の存在意義を感じられて心が満たされていくものです。

日常生活のちょっとした出来事も見逃せません。先日、買い物中におつりがないようにぴったりのお金を出したところ、「助かります!」と店員さんにとても喜ばれ、明るい気持ちで1日を過ごせました。迷っている人に道を聞かれて教えたときも充実感があります。大きなことを成し遂げたいと思っていたら気づかない幸せが、意識してみると私たちの周りにたくさん転がっています

人生において、キャリアアップを追及し続けるのは誰にとっても難しいことです。相談者さまもきっとまた、自然とやる気が湧いて行動したくなるときが来るはず。そのときまでプチ善行で自己肯定感を高めながら、穏やかな休息モードを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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