毎日機嫌よくラクに生きるヒント

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91歳Youtuber・多良美智子さん vol.1
「人と比べない。無理をしない。それだけで人生は楽しくなる」


毎日、機嫌よく生きたいと思っているのに、現実にはなかなかうまくいきません。
人と比べて「私なんて」と落ち込んだり、「私だけ楽しいことがない」とひがんだり……。
これからやってくる、未知の「老い」に対して不安になることもあります。
生きていれば悩みは尽きませんが、どうすればマイナスな思考に陥らず、
自分らしく過ごせるのでしょうか。
今回お話しをうかがったのは、人生の大先輩・91歳で一人暮らしのYouTuber
(孫と2人で「Earthおばあちゃんねる」を運営)の多良美智子さん。
「不安も悩みもなく、毎日が楽しいですよ」と、軽やかです。
一体、どうしたらそんな心境になれるのか、多良さんの心の持ち方について聞きました。
全3回に渡ってお届けします。

Photo:Osamu Yokonami
Text:Fumiko Ohashi
Edit:Ayumi Sakai

興味を持ったらすぐにやってみる。
合わなかったらやめていい

多良美智子さんは、10年ほど前にご主人を亡くし、今は築約60年の古い団地で一人暮らしをしています。85歳のとき、孫と一緒に「Earthおばあちゃんねる」というYouTubeを始め、現在は登録者数約17万人。70歳以上離れた相棒・お孫さんとの心なごむやりとりも、視聴者に好評です。

85歳でYouTuberになりました。こんなにたくさんの方々に見てもらえるなんて、想像もしていなかったです。きっと長生きのご褒美ね」。

「やることがなくて毎日つまらない」と嘆く高齢者も多いなか、多良さんは「一人暮らしの自由を満喫しています。毎日楽しくて!」と笑顔で、心から満たされている様子です。

どんな毎日なのかをうかがうと、「好きなことしかしていない」とのこと。「今の楽しみは、麻雀、ストレッチ、歌の教室の習い事や趣味の会に参加することです。どれも、自分がやりたくて始めたので楽しいですよ」。

YouTubeも多良さんからお孫さんを誘ったそう。「ちょうどコロナ禍で、なかなか会えない親族に、お手紙みたいな気持ちで始めました」。

一方で、始めたけれど、自分には合わないと思ってやめた趣味もたくさんあるそう。これは違うなと思ったら、無理はしません。

私はすぐやる課(笑)。思い立ったら、すぐ行動します。考えてばかりいたら進まないし、やってみないと自分に合っているかどうかなんてわかりませんよね。失敗したこともたくさんあるけれど、合わないと思ったらサッとやめればいい。諦めも早いのよ」。 興味は持ったことは、まずはやってみる。でも、違うなと思ったらやめてもいい。これなら、新しいことを始めるハードルが、グッと下がりますね。

人と比べない。
自分軸で考えていい

91歳で、エレベーターのない古い団地で1人暮らし。多良さんの現状を「大変そう」と思う人もいるかもしれません。でも、ご本人いわく「自分の好きなように整えた団地で、誰にも気を使わずに自由に暮らせて、毎日が楽しいの」と。4階までの階段も「毎日2回往復しているから、健康維持ができているのよ」と笑います。

ご主人が亡くなったとき、息子さんが同居を提案してくれましたが、自分の意志で一人暮らしを選びました。

今の団地に60年ほど住んでいます。住み始めた頃は最先端の住まいでしたが、その後、マイホームブームになり、多くの人は一戸建てに引っ越しました。「私は、家族の顔が見える団地の狭さが気に入っていました。それに、住宅ローンに追われる生活は嫌だったの」。ご主人からは引っ越しを勧められましたが、団地を選びました。

長く住み、最近は、ますます団地の良さを実感しています。「団地内には常に人がいるので、一人暮らしでも寂しさを感じにくいです。家の修理もお願いできるし、ずっと住んでいて良かったですね」。

大切なものは人それぞれ。人と比べずに自分軸で決めることが、「自分らしさ」につながります。

「色々なことがあった91年でした。辛いことや大変なこともあったけれど、誠実に向き合えば、必ずなんとかなりました。だから、皆さんも、大丈夫ですよ!」と多良さん。人生の大先輩から、エールをもらいました。

年齢を理由に諦めない。
できることは何でもやる

90歳を超えた今でもおしゃれが大好きな多良さん。耳にはピアスがキラリと光ります。実はピアスの穴を開けたのは、80歳のとき。「開けると運命が変わるって言われているけれど、そんなロマンチックな理由ではなく、イヤリングをなくしがちだったから。ピアスをしている友達に勧められ、思い切って開けました」。

運命は変わらなかったようですが、おしゃれがますます楽しくなったと言います。外れにくいフープタイプのピアスを選んだので、なくすこともなくなりました。

同じく80歳のとき、イギリスの田舎・コッツウォルズのツアー旅行にも1人で参加。「愛読していたカズオ・イシグロさんの小説、井形慶子さんのエッセイにイギリスの田舎が出てきて、いつか行ってみたいなと思っていました。

友達や親族を誘ったけれど、一緒に行く人が見つからなかったので、それなら、1人で参加しようと。私は、興味のあるものには1人ででも参加します。同じものに興味がある人とは気が合うので、友達もできるんですよ。コッツウォルズへの旅行は、海外旅行はもうこれで最後にしようと思えた素晴らしい経験でした」。

今は、体調も考えて、1人で旅行に行くことはありません。でも、91歳でもできることを、まだまだやりたいと思っているそうです。

多良さんの3冊目の著書『90年、無理をしない生き方』(すばる舎)は、
90歳を迎えても毎日機嫌よく暮らすための工夫が詰まっています。
誰もが不安を感じる「老い」を受け入れてナチュラルに生きる姿に、
「こんなふうに年をとりたい」と若い世代からも共感の声が寄せられています。

< 多良さんの心のお守り >
「私が子どもの頃の写真、夫と結婚したときの写真、子どもたちが小さいときの写真など、
古い写真を眺めると、心がホッとします。以前はアルバムをたくさん持っていましたが、
生前整理をし、本当に気に入った写真だけを残してあとは処分しました。
靴の箱一つに入るだけにしたら、気軽に取り出せて、いつもで眺められるようになりました」。
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