「ペンギン ブックストア」選・今月の一冊 #18

title  :


『幸せな方の椅子』
松山みゆ・著/大和書房


お客様から「元気がないときに、おすすめの本はないですか?」と
よく訊かれるというペンギン ブックストア店主の立石さん。
そんな時、立石さんは「元気が出る本」ではなく
「元気がなくても楽しめる本」を紹介しているのだそう。
気持ちに寄り添ってくれて、硬くなった心をほぐしてくれる。
そんな一冊を、毎月セレクトして独自の視点で紹介する人気連載。

Text : Minobu Tateishi(Penguin Bookstore)
Edit : Ayumi Sakai

2つの椅子をイメージすることが、幸せな未来への第一歩

私の書店はカフェも併設していて、座ってお茶を飲める場所が2カ所あります。ひとりで本を読んだり考えごとをしたりするときには、窓の外が見えるカウンター。私とおしゃべりをしたいと思われるときには、キッチンの対面カウンター。そのときの気分で、好きな方を選んでもらいます。

この「選べる」ということが、実はとても大切だと思っています。人生において、「これしかない」「こっちに行くしかない」と思うのと、「これとこれがあって、自分で決めていい」と思うのとでは、心の酸素濃度が全然違うからです。後者のほうが、断然ラクに息ができます。

誰でも生きているうちに何度かは、大切な人を亡くす経験をしたり、ものすごく大きな悲しみに潰されそうになったりすることがあるものです。この本では、そんなときに自分の心を守る方法のひとつを紹介してくれています。それは、「幸せな方の椅子に座る」という方法。

著者の松山みゆさんは、自身が37歳、息子さんが7歳のとき、夫がステージ4の希少がんを患っていると判明しました。絶望のどん底で夫に付き添うことになった松山さんは、自分の行動を2パターン考えてみたといいます。夫の病室に入るときに、①心配そうな顔で入っていく。②笑顔でさわやかに入っていく。松山さんはその選択肢を、「椅子」と表現しています。そして、それぞれの椅子に座ったときにどんな未来になるのかを想像してみたのです。

選んだのは、②の椅子。それは、「まだ少しは幸せな未来になる可能性があると思ったから」。

松山さんは、「これからもずっと、私はこうやって少しずつ幸せな方を選んでいけばいい」という決意をします。それが自分の「生きる力」であり、「心の中だけで輝く北極星みたいなもの」と表現しています。

どんなときでも、自分の前にふたつの椅子があることを忘れないでいたいと思います。「どっちの方が幸せかな?」と、少しだけ立ちどまって考えてみる。「未来の自分が今の自分に、『ありがとう』と言ってくれるのはどちらだろう?」と想像してみる。それだけで、自然と答えが見えてくるはず。自分の人生の舵を自分で握ることの大切さを、この本に教えてもらいました。

『幸せな方の椅子』
松山みゆ・著/大和書房
希少がんを発病した夫と向き合う中で
「幸せな方の椅子に座る」という気づきを得た著者が語る、
真の幸せにたどりつくヒント。
「病気になったけど、幸せなままでいようよ」
という夫との約束を守りながら、
10年に及ぶ闘病生活に伴走した日々を綴っている。
著者は現在、日本癌治療学会認定がん医療ネットワーク
シニアナビゲーターとして活動している。

profile:
share:

OUR PRODUCTS​

ストレスを抱えるあなたに寄り添う、
メンタルウェルネスブランド。

OUR PRODUCTS​

ストレスを抱えるあなたに寄り添う、
メンタルウェルネスブランド。

© 2023 AWAI Inc. All rights reserved.

© 2023 AWAI Inc. All rights reserved.