揺らぐ心をフラットに
「お悩み相談室」 #06

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「シングルで子どもがいない自分に不安を感じます」
答える人:コラムニスト・漫画家 辛酸なめ子さん


現代人が抱える悩みや日々わいてくる心のもやもやに、
多くの人とその人生に向き合い、心を癒してきたあの人がアドバイス。
今回の回答者は、独自の観察眼と軽妙さで現代を描くコラムニスト・辛酸なめ子さんです。

Text : Yoko Jinza
Edit : Ayumi Sakai
今回の悩み

好きな仕事に没頭してきて、気づけば子どもを持つ機会がないまま今に至りました。そのことに後悔はないけれど、最近少子化のニュースにふれると「私って社会の役に立ってないのかな?」と、もやもやするように。「将来働けなくなったら、シングルで子どものいない私はどうなるの?」と不安にかられることも。この気持ち、どう整理すればいいでしょうか?

納税や地球環境など
何かしら社会貢献している

「子どもがいない自分は、社会の役に立っていないのでは」と、私もたまに思ったりします。少子化のニュースに心がざわついて、ときには責められているような気持ちになることも……。一人身は気楽な反面、社会における存在意義を考えてしまう瞬間があります。

ですが、最近は結婚しない人や子どもを持たない人も増えてきました。一説によれば、少子化などで人口減少が進むと、社会全体の消費やエネルギー使用を減らすことにつながり、環境への負荷が軽くなるそうです。世界人口が81億人を突破した今、もしかしたら地球レベルではバランスが取れているのかもしれません。そう考えると、自分のライフスタイルにも何かしらの貢献があるように感じられて、少しだけ心が軽くなります。出産する方も、しない方もいてもいいし、どちらを選んでも良いのでは?と思えます。

それに、子どもがいない人は特に税制優遇を受けることなく、ひたすら税金を納めています。そこに思いを馳せたら、「自分は社会の役に立っている」と胸を張ってよいのではないでしょうか。

自分らしい人生を望んだ先祖が
あなたを応援している

個人的には、「私が子孫をつくらないことを、先祖が悲しんでいるのではないか」という罪悪感に似た思いが胸の奥にありました。でも、江戸時代や明治時代の女性について調べたとき、その気持ちが少し変化しました。

当時の女性たちは自由に職業を選べず、家のためにひたすら働いて尽くすのが当たり前。明治時代の華族や将校実業家、実業家の娘など身分の高いお嬢さまの多くは、お琴や絵画などの芸術的素養を身につけていましたが、それらは夫やその家族を楽しませるためだけのもので、それで身を立ててはならなかったのです。

そのことを知ったときはショックでした。それに比べたら、現代の女性は好きな仕事を選べて、自由に表現活動ができ、インフルエンサーとして活躍することも可能です。

先祖の中には、子どもを産み育てる人生を望んだ方もいたけれど、「好きな仕事を思いっきりしたい」「自分を表現したい」と願った方もきっといて、その先祖なら私を応援してくれるはず。家の中で一生を終えるしかなかった先祖の代わりに、こうして働いていると思えばいいのかな……と思い至りました。

相談者さまも、先祖への感謝やねぎらいの心を持ちつつ、やりたいことを存分に楽しんでいただけたらと思います。

貯金に励み、仕事や趣味に没頭。
今に集中して不安を払拭

将来の不安については、「貯金は女の命綱」といわれるように、老後に向けて貯金をしておくことが安心材料になると思います。また、日本は福祉制度が充実しているのも心強いところ。窮地に陥っても、野垂れ死など悲惨なことにならないようサポートしてもらえるでしょう。

「将来働けなくなったら」という思いが頭をよぎることはありますが、あまり心配しすぎるのも逆効果。不安が現実を引き寄せ、「老後に苦労する自分」というビジョンがかなってしまうかもしれません。将来の不安にかられたら、好きな仕事や趣味に没頭したり、貯金に励むなどして〝今″に集中しましょう。今に集中してその瞬間をポジティブな思いで生きたら、明るい未来を引き寄せられそうです。老後も、暗い顔の高齢者より穏やかで平和な高齢者のほうが、周りの人に好かれてケアしてもらえることでしょう。

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