師走に入ると、いよいよ寒さ本番。
体の冷えや年末ならではの忙しさも相まって、
ぐっすり眠れず、疲れが取れない人も多いかもしれません。
また冬の臓器「腎(じん)」は、不安や怖れといった感情と
密接に結びついています。
「腎」が弱まると不安が強くなり、眠りも浅くなりがち。
体を温め、栄養となるものをしっかり食べて
眠りの質を上げていきたいものです。
薬膳で「腎」にいいのは「黒い食材」と言われています。
おせちの定番・黒豆も、そんな黒い食材のひとつ。
おせちでは甘く煮るのが一般的ですが
普段の食事にも大いに活用したいものです。
今回ご紹介するのはポルトガルが発祥、
ブラジルでは国民料理と呼ばれる
「フェジョアーダ」(黒いんげん豆と肉の煮込み)をイメージした、
滋味深いけれどパワフルな煮込み料理です。
Styling : Yuko Hama
Text : Noriko Tanaka
Edit : Ayumi Sakai
Key 食材 黒豆
薬膳では「血」や「腎」を補い、余分な水分を外に出すので、むくみ解消にもすすめられます。骨粗しょう症予防や更年期障害予防にもいいイソフラボンは、大豆の2倍。サポニンやアントシアニンといったポリフェノールも豊富です。なお、黒い豆は邪気を払うと言われています。無病息災の祈りも込めて、年末年始にいただきたい食材です。
RECIPE
眠りの質を上げる
「黒豆と牛肉のシチュー」
眠りが浅くなる原因のひとつに、「血」の不足が考えられます。「血」は全身に栄養を運ぶほか、精神を安定させる役割があり、不足していると眠っても疲れがしっかり取れないことが起きるのです。牛肉とにんじんは、どちらも「血」を補う代表食材。眠りの質を上げるために、積極的に食べるといいですね。
塩麹を使って調味しているので、牛肉の消化吸収もスムーズになり、しっかりエネルギーが補給できます。塩麹は塩分濃度がメーカーによって違うので、味見をして足りなかったら塩で調整してください。
黒い見た目にドキッとするかもしれませんが、味わいはマイルドで、豆によってとろみがつき食べ応えも満点。煮物は冷めるときに味がしみ込むので、一度冷まし、いただくときに温めると、おいしいですよ。
材料(作りやすい分量)
黒豆(乾燥)… 1カップ
牛もも肉(カレー・シチュー用)… 200g
パンチェッタ(ベーコン)… 70g
玉ねぎ … 1個
にんじん … 小1本
にんにく … 1片
塩麹 … 大さじ1と1/2
スパイス(ガラムマサラ・カイエンヌペッパー・こしょう・ナツメグ・コリアンダーなど好みのもの)… 大さじ1~1と1/2
オリーブオイル … 適量
- 黒豆は水で洗って水3カップを加え、常温にひと晩おき、戻す。
- ボウルに牛肉を入れ、塩麹を加えてもみ込む。
- 玉ねぎは縦半分に切り、1cm幅の薄切り、にんじんは皮ごと5mm幅の輪切り、にんにくは包丁の背でつぶし、粗みじん切りにする。
- 厚手の鍋にパンチェッタ、にんにく、オリーブオイルを入れて中火にかけ、香りが立ったら牛肉を炒める。肉の色が変わったら、にんじん、玉ねぎを加え、全体に油をまわすように3分ほど炒める。スパイスを加えて混ぜ、さらに炒め合わせる。
- 4に1を戻し汁ごと加え、強火にする。煮立ったら中弱火にし、40~50分煮る(途中水が足りなくなったら、1カップほど加える)。味をみて足りなかったら塩少々(分量外)で調える。
POINT
黒豆はひと晩水につけて戻し
戻し汁ごと活用します。
汁の中にもポリフェノールほか
さまざまな栄養が含まれます。