記録的猛暑だった今年の夏。
まだその疲れを引きずって、何となく元気がない、
気力が沸かない……と思っている方も多いかもしれません。
薬膳で気力が沸かない状態のことを「気虚(ききょ)」と呼びます。
心身を健やかに動かすために必要なエネルギー、
「気」が不足していることで、
疲労感や倦怠感を覚える状態になっているのです。
そんなお疲れ気味の方に、特におすすめしたい素材が「山いも」。
山いもは、長いもや大和いも、自然薯などの総称で、
別名「山のうなぎ」と呼ばれるほど、
古くからスタミナ食材として知られています。
「とろろ以外に使い道が分からない」という声も聞かれますが
炒めものや煮もの、スープやサラダなど、
さまざまな料理にアレンジできます。
今回は鶏肉と合わせ、元気を取り戻す炒めものにしました。
Styling : Yuko Hama
Text : Noriko Tanaka
Edit : Ayumi Sakai
Key 食材 山いも
漢方では「山薬(さんやく)」と呼ばれており、免疫力を上げ、疲労回復を促す働きで知られています。ネバネバの正体は消化酵素・ジアスターゼで、胃腸の調子が悪かったり、食欲が落ちていたりするときにもおすすめ。今回のレシピでは手に入りやすく、水分量もほどよい「長いも」を使うのがおすすめです。
RECIPE
気力を取り戻す
「山いもと鶏ひき肉の麻婆炒め」
栄養満点の長いもは、秋の臓器・肺にいいとされる「白い食材」のひとつ。肺を潤し、胃腸を強くすることで、夏に弱った心身を癒してくれます。豆腐のようにサイコロ状にカットして、麻婆豆腐風の炒めものにしてみました。皮と身の間に栄養がありますので、ぜひ皮ごと使いましょう。長いものネバネバのおかげで、片栗粉などを入れなくても、自然なとろみがつきます。
鶏肉も「気を補う」食材の代表選手で、豚肉や牛肉とくらべて消化吸収率が高く、体力低下や食欲不振に悩む人におすすめ。豆板醤に入った唐辛子のカプサイシンが血行を促進し、食欲を増進させてくれます。
材料(2人分)
長いも … 250~300g
鶏ひき肉 … 200g
長ねぎ … 1本
しょうが、にんにく(みじん切り) … 各大さじ1
ごま油 … 小さじ2
豆板醤 … 小さじ2~3
A
オイスターソース … 大さじ1
塩麹 … 小さじ1~2
砂糖 … 大さじ1
花山椒 … 小さじ2

- 山いもはたわしなどでこすり洗いし、水気を拭く。手で持って回しながらガス火であぶり、ひげ根を取る。皮ごと2㎝角に切る。長ねぎは粗みじん切りにする。
- ライパンにごま油を中火で熱し、豆板醤を加える。香りが立ったらひき肉を加え、炒める。肉の色が半分ほど変わったら、しょうが、にんにく、長ねぎの半量を加え、さらに炒める。
- A、水50mℓを加えて混ぜ、1を加える。汁気がなくなり、山いもが温まるまで2~3分加熱する。
- 残りの長ねぎ、花山椒を加えてさっと混ぜ、火を止める。

POINT
ひげ根は火でチリチリに焦げると
自然に落ちていきます。
やけどに注意して。
ガスコンロがない人は
アルミホイルを丸めて
皮をこすると取り除けます。